「ハワードの耳が聞こえなくなったのは、僕のせいなんです」 だから、ハワードは、 「ハワードはもう鍛冶師になれないんです」 だから、僕が、 「僕が、ハワードを冒険に連れて行きます」 だから、ハワードと僕は、 「ハワードは僕と冒険に出ます」 だから、だから。 言い訳を重ねるセイレンはまるで駄々っ子のように。 身の内に宿る激しい火が、どうしようもなくハワードを求めるのだろう。 すべてを燃やし尽くす火の力を恐れているのは、なにより火自身なのだから。 今日、二人は冒険に旅立つ。 水と火の強すぎる歪な結びつきは、歪な結末しか生まない。 それでも私は祈る。 母親として、一人の女として。 正しい道じゃなくても良いから、 私たちの息子と彼の息子が共に歩める道を。 | ||