カミサマ、許してください。どうか許してください。


光が、見えました。
闇の中に一筋の光が、見えました。
それはとてもとても眩しかったのです。
目が眩むほど目が焼け落ちるほど眩しかったのです。
目を閉じられなかったのです。
だから
仕方なかったのです。
ずっと見ていたいと思ってしまったのは仕方が無いことだったのです。




光を、感じました。
あたたかいアタタカイ光を、確かに感じました。
躯が溶けてしまうほど微睡んでしまうほどアタタカイ光を感じました。
だから
仕方なかったのです。
ずっと感じていたいと思ってしまったのは仕方が無いことだったのです。




光が、欲しいと思いました。
その光が、欲しいと願ってしまいました。
心から心から。
それは綺麗で眩しくて美しくてあたたかくてだからだから
仕方なかったのです。
欲しいと願ってしまったのは本当に仕方が無いことだったのです。
手を伸ばしてしまったのは仕方が無いことだったのです。
少しだけ少しだけほんの少しだけ
触れてみたかったのです感じてみたかったのです傍にいて欲しかったのです
ただそれだけなのです。
分かっています十分分かっています。
許されないことだと決して許されないことだと。






私は「人間」ではありません。
私はヒトではありません。
私はヒトでないもので構成されています。ジェノバ細胞というもので構成されています。
私は「人間」ではありません。




私は沢山の命を奪ってきました。今まで沢山の命を奪ってきました。
私の手は血にまみれています。
洗っても洗っても決してとれないのです。
もうどうしようもないのです。









私はこれから狂っていくでしょう。



私はこれから沢山の命を奪うことになるでしょう。



私はこれから

光を

ヒカリを

綺麗で眩しくて美しくてアタタカイ光を

壊してしまうでしょう。

殺してしまうでしょう。




この手で






悲しくはありません。悲しくはありません。
それなのに


涙が止まらないのです。


拭っても拭っても止まることなく後から後から溢れてくるのです。
うまく呼吸ができないのです。
躯のあちこちが悲鳴をあげているのです。







これは何という感情なのでしょう。
これは何という感情なのでしょう。



「ヒカリ」 2001.04.25
 
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